くるみんマークとは?認定基準とメリット一覧、取得企業もご紹介

2019年7月3日

まんだむさんによる写真ACからの写真

少子化などの就職売り手市場により、求職者が求めるハードルが高まっています。
それに伴い、子育てや女性が活躍できる企業が注目を集めるようになってきました。

子育てサポート企業の「くるみんマーク」、女性活躍推進企業の「えるぼし」認定など、国が”働きやすい”と認めるマークについてご紹介したいと思います。

厚生労働大臣認定による「くるみんマーク」とは?

「くるみんマーク」とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。
この認定を受けた企業の証が、「くるみんマーク」です。
(厚生労働省 「くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて」より)

企業・国・地方公共団体に、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するための計画を策定することを求める「次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)」が、平成26年の改正法により平成37年まで延長されました。

この次世代法に基づき従業員101人以上の企業は、「一般事業主行動計画」を策定し、一般への公開・労働局への届出を行う義務があります。

一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。

従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。
(厚生労働省 「一般事業主行動計画の策定・届出等について」より)

つまり、「くるみんマーク」認定企業は、
「いつまでに、どんな目標を、どのように達成するか」という行動計画を立て、その目標を達成し、国が定める一定の基準を満たした企業である!ということが認められた企業、ということになるのです。

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子育てサポート!くるみんマーク認定基準

次世代法に基づく「くるみんマーク」を取得したい!という企業は多いのですが、認定基準はどれだけ高いのでしょうか!?

2019年3月末時点で3,066社(公表OKの企業のみ)になります。
「両立支援のひろば<http://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/>」に行動計画を登録している企業が65,373社(2019年5月16日時点)となるので、登録企業のうち4.7%が「くるみんマーク」を取得していることになります。

4.7%と聞くと、かなりハードルが高そうですよね。

「くるみんマーク」の認定基準もとても難しいのでしょうか!?
それでは、厚生労働省 雇用均等・児童家庭局/都道府県労働局雇用均等室が出している認定基準を見てみましょう。

くるみんマーク例:厚生労働省サイトより

くるみん認定基準10項目

⒈ 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。

⒉ 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。

⒊ 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。

⒋ 策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること。

⒌ 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
(1)計画期間において、男性労働者のうち育児休業等を取得した者の割合が7%以上であること。
(2)計画期間において、男性労働者のうち、育児休業等を取得した者および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者の割合が、合わせて15%以上であり、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること。
<従業員300人以下の企業の特例>
計画期間内に男性の育児休業等取得者または企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者がいない場合でも、①〜④のいずれかに該当すれば基準を満たします。
①計画期間内に、子の看護休暇を取得した男性労働者がいること。
(1歳に満たない子のために利用した場合を除く)
②計画期間内に、中学校卒業前(15歳に達した後の最初の3月31日まで)の子を育てる労働者に対する所定労働時間の短縮措置を利用した男性労働者がいること。
③計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、男性の育児休業等取得率が7%以上であること。
④計画期間において、小学校就学前の子を養育する男性労働者がいない場合、中学校卒業前(15歳に達した後の最初の3月31日まで)の子または小学校就学前の孫について、企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者がいること。

⒍ 計画期間において、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であること。
<従業員300人以下の企業の特例>
計画期間内の女性の育児休業等取得率が75%未満だった場合でも、計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、女性の育児休業等取得率が75%以上であれば基準を満たします。

⒎ 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。

⒏ 計画期間の終了日の属する事業年度において、次の(1)と(2)のいずれも満たしていること。なお、認定申請時にすでに退職している労働者は(1)・(2)のいずれも、分母にも分子にも含みません。
(1)フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。
(2)月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと。

⒐ 次の①〜③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること。
①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の取得の促進のための措置
③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

⒑ 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

(厚生労働省 パンフレットより)

まずは社内でしっかりとした目標・計画を立てること、そしてそれを社内に周知すること。
パパの子育ても推進すること、パパママ関係なく「働きやすい」職場環境のための措置を実施していること。
そして、当たり前かもしれませんが、法に違反していないこと。

”子育てサポート”というとママだけが優遇される!と思われがちですが、実は「くるみんマーク」の認定基準をクリアするには、パパや子育て関係ない社員にも措置を講じる必要があるんですね。
労働者の時間外労働についての基準(認定基準8)が設けられているのは、
「確かに、ママだけ早く帰ってもパパが遅く帰宅すると育児は分担しづらいかも」
という声を反映するためには必要なのではと感じました。

さて、いかがでしょう?
「実は認定基準をクリアしているかも!」
という会社もあるのではないでしょうか。

まずは社内の状況を数値化するところからスタートしてみるのが良いですね!
数値化することで社内の士気も上がるかもしれません。

FineGraphicsさんによる写真ACからの写真

くるみんマーク保有によるメリット一覧!税制優遇は?

「くるみんマーク」を認定されると、”子育てサポート”企業であるという認知ができる!というのは、採用活動においても大きなメリットと言えますが、「くるみんマーク」を保有しているメリットはそれだけなのでしょうか?

厚生労働省のパンフレットによると、「くるみんマーク」認定により”子育てサポート”企業であることをPRできることから、以下を期待できるとしています。
・企業イメージの向上
・労働者のモラールアップやそれに伴う生産性の向上
・優秀な労働者の採用・定着

平成27年度3月31日までは、建物等の減価償却を受けられる税制上の優遇措置(くるみん税制)があったのですが、平成28年度からは公共調達で有利になる!というメリットがあります。

公共調達の際に、厚生労働大臣の認定を受けた企業(くるみん認定企業等)などを加点評価するよう、国の指針で定められたのです。
国の事業を行う際に、加点が認められることが嬉しい事業所も多いのでは?

ただ、やはり一番のメリットは、
「自社の現状や労働者のニーズの把握」ができる部分なのでは、と思います。

行動計画策定にあたって、
・妊娠・出産を機に退職する労働者数
・育児休業、子の看護休暇等の男女別の利用者数、利用期間
・ワーク・ライフ・バランス支援制度の認知度、利用意向
・労働時間の短縮や年次有給休暇の取得への希望
・今後、会社で検討・実施してほしい支援制度
など、労働者のリアルな声を数値化して見ることができるのは、社内のモチベーション向上・生産性向上だけではなく、退職抑止・リテンションにも繋がるのではないでしょうか。

周りから「良い会社」と認められることはとても重要なことですが、社内の方々が「長く働き続けたい会社」と思ってくれることは、もっと重要なのではと思うのです。

くるみんマーク取得企業の担当者にインタビュー

「くるみんマーク」を取得している弊社担当者にインタビューしてきました!

社は創業期から業種的にも女性に人気の職種が多く、女性従業員の割合が多いのが特徴的でした。
「女性が活躍できる」企業であることをもっと伝えていきたい、という思ったときに「くるみんマーク」認定制度を知ったのです。

2015年に認定を受けているのですが、当時男性の育児休業取得者は珍しかったこともあり、様々な場所で取り上げていただくことも。

女性だけではなく、全ての従業員が働きやすい・長く働き続けられる企業になるための一歩につながったとも言えるかもしれません。

社内の状況を数値化することで、課題や改善点も見つけやすくなり、どう改善すべきかという議論にも繋がります。社外からも「くるみんマーク」保有については話題にあげていただくことも増えました。

社外・求職者へのPRというよりも、ぜひ自社内の従業員の方々のためにも「くるみんマーク」認定にトライしてみてはいかがでしょうか。

新しい取り組みを開始するときには、企業文化によっては反発を生むこともあるかもしれませんが、弊社でもより良い方向に舵をきれたタイミングは「くるみんマーク」認定だったかもしれません。

ぜひこの記事を通して考えるきっかけができたら幸いです!

この記事を書いた人 玉城 久子(たまき ひさこ)
株式会社プロトソリューション(沖縄県宜野湾市)の広報担当。
2018年にえるぼし(3つ星)認定に成功し、以降セミナー登壇など女性活躍に力を入れる。
2児の母でもあり、同じママたちに”生きる知恵”を伝えるべく「制度」系の勉強中。「SDGs」への関心も高まっており、脱プラや環境配慮に関する記事も書き始めました。