外出自粛での家食増!食費・光熱費変化による家計影響は?総務省の家計調査報告から読み解く

2020年7月13日

コロナによる長期にわたる外出自粛を受け、自炊の機会が増えたのは我が家だけではないはず。
外食は難しいのでテイクアウトで…と言いつつも、以前に比べて「外食費」の割合は減った家庭が多いのではないでしょうか。

我が家でも、恥ずかしながら「今日は疲れたー!作る気力がない!」という時には外食を利用することも多々あったのですが、7月に入るまではお店も短時間で閉まったりなど利用機会が減ったのは事実です。

いざ家計簿を眺めてみると、コロナ前に比べると外食費(テイクアウト含む)は、半分以下になっていました!

そこで、今回はコロナの影響など長期外出自粛による、家計への影響・変化について調べてみたいと思います。

家計における消費支出は前年同月比16%減少

2020年(令和2年)7月7日に発表された総務省「家計調査報告」によれば、2人以上の世帯において消費支出は5月にガクンと減っていることがわかります。

総務省「家計調査報告5月分」2020年(令和2年)7月7日発表

消費支出とは、いわゆる生活費のことであり,日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額()とされます。
(*:家計調査 用語の解説より)

ちなみに、非消費支出は、税金や社会保険料など原則として世帯の自由にならない支出()となります。
額面収入から非消費支出を引いたものが、いわゆる手取り収入ということですね。

その消費支出がガクンと減っている…ということはつまり、家計での余剰分(つまり預貯金に回せる金額)が増えた!ということになるのでしょうか。

この「家計調査報告」によれば、収入は増加しているようですね。
今後の非常事態にも備えて、キャッシュの蓄えも必要ですが、経済が停滞していることをよく示しているデータだなと感じます。

コロナでの家計への影響|飲酒代はマイナス88%

今回の「家計調査報告」による追加参考図表が、とても興味深いものだったので、こちらもご紹介させてください!

2020年(令和2年)5月の消費行動に大きな影響が見られた主な品目、の図なのですが、巣ごもり消費を大きく反映したデータになっています!

総務省統計局「新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など」令和2年7月7日より

4月と5月のデータが併記されていますが、ざっくり推察していくと(私見ですが)

  • 自炊・宅飲みが増加し、外食・飲み会が大幅に減った(外食費は家より高い!)
  • 外出自粛で、見た目を着飾る衣服費・お化粧品代大幅減!(外出したとしてもマスクですし)
  • 移動にかかる交通費等大幅減、書類の受け渡しでの郵便料増
  • WFH(Work From Home)・リモートワーク加速によるパソコン費増!休校措置によるゲーム代大幅増!
  • 旅行・映画などの娯楽・エンタメ費大幅減!

即席麺の増加は、これまで自炊をしてなかった人も自炊をするようになったとか、休校措置で家庭にいる子どもたちのおやつ分が丸々増えた、というような感じでしょうか。

正直、我が家も家庭保育を実施している期間は、
・朝ごはん
・昼ごはん
・おやつ
・晩ごはん
と4食分の準備・片付けは本当に心が折れそうでした(^^;

外に出る、というリフレッシュもできない中で、通常業務に加えて家事が純増するというのは、なかなか厳しいですよね。
本当に保育園に感謝しかありません。。

そして、ニュースでも話題になっていましたが、医科診療代減にも出ているように、病院に行く人も減ったとか。
外出自粛の中、ちょっとした病気であれば自分で治す!という人も増えたようですね。

データで他に興味深かったのは、浴用・洗顔石けんが増えているところです!
もちろん手洗い推奨による、手洗い石けんの購入が増えたことも想定できますが、もしかしたらリフレッシュのために長風呂を楽しむ方も増えていたのかなーとかも考えてしまいますね。

データマーケティングを深堀りすれば、もっと面白いサービスなども考えられるかもしれません!

家計調査を受けているのはどんな人たちか知ろう

ここまで「家計調査報告」をベースに進めてきましたが、そもそもこの「家計調査」はどんな世帯を調査しているのでしょうか。

基本的にデータは、まるっとそのまま信じてしまうものではなく、どういう基準で算出されたものか、データ抽出の背景を知っていることが重要になります。

家計調査はどのような調査なのですか?
 家計調査は,国民生活における家計収支の実態を把握して,景気動向の重要な要素である個人消費の動向など,国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供するため,総務省統計局が毎月実施している統計調査です。
 家計調査の調査対象は学生の単身世帯等を除く全国の世帯で,2015年の国勢調査によると,これらの世帯は約5157万世帯で全国の世帯の約96.5%を占めています。
 この中から無作為に選定された調査世帯で6か月間(単身世帯は3か月間),毎日のすべての収入と支出を家計簿に記入していただきます。

総務省統計局「家計調査に関するQ&A」より

今回ご紹介しているデータは「2人以上の世帯」となっており、単身世帯ではありません。
また、住居費については、最初私も「少ない!!」と驚いたのですが、住宅ローンを支払う持ち家の住居費が反映されていないからだそうです。

確かに…住居費が2万円より低いなんてうらやましすぎる!と思っちゃいましたが、住宅ローンを加味するとかなり多くなりそうですね。。

「2人以上の世帯」ということなので、収入部分が50万円となっていても、夫婦それぞれ25万円ずつの収入かもしれないですし、そもそもが平均値なので、ずば抜けて高い人もいるということをお忘れなく。

また、家計調査の世帯主の分布としては高齢者に寄っているという説明もありますので、そういった背景も加味しながらデータを見ると良いかもしれません。

ただ、同じ調査方法での前年比較は、結果としては信頼性に足ると考えて、ここでは前年比での増分について紹介しております☆

家計簿的比較!2019年vs2020年5月

そこで、家計簿的に2019年と2020年5月データを比較してみたいと思います。

■参考データ
・総務省 家計調査報告[家計収支編]2019年(令和元年)平均結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2019.pdf
・総務省 家計調査報告 2020年(令和2年)5月分
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

総務省「家計調査報告」データより著者作成

いやー、このデータを見れば、どういう項目(費目)で家計簿作ればいいか、本当に参考になりますよね。
この項目順をベースに、自分が傾向を知りたい費目を細分化したり、あまり使っていない費目を削除したり…。

とそれは置いておき、
黄色青色に塗っている部分が、私として気になる部分になります。

2019年の1年平均と2020年5月単月との比較なので、暖房やセーターなど、季節変動のあるものはそのままずばり比較はできないのですが、減り分の大きいものを黄色に塗っています。

逆に、増えているもののうち、気になるものを青色に塗りました。

家計簿的比較!減っている項目は外食・衣服・娯楽など

  • 「外食」の減りは半分以下!
  • 「和服」は個人的に気になりましたが、お正月等の季節変動分が大きいと思います。
  • 「洋服・履物」も6割程度に。
  • 「保健医療サービス」は7割へ。外出自粛の影響が出てるといえますね。
  • 「教養娯楽サービス」に至っては4割以下へ。ここには宿泊費やパック旅行費などが入ります。
  • 「交際費」も6割以下へ。

3密回避・人と接触しないというコロナ禍での前提を思うと、やっぱりという費目でマイナスになっていますね。

家計簿的比較!増えている項目は酒類・家事サービス・生地類など

  • 「酒類」は増加!家で飲むオンライン飲み会も趣向を凝らしたものが増えましたよね!食料品関連は概ね増加傾向にあります。
  • 「家事サービス」増加!政府のシッター助成などの影響もあるかと思いますが、休校措置で家にいることが多くなり家事・育児のケア分にお金が回ったといえます。
  • 「生地・糸類」手作りマスク需要増を受けたと言えます。
  • 「教科書・学習参考教材」休校措置での学習の遅れを取り戻すため、様々な企業がオンラインサービスの拡充を行いましたよね。それも影響しているのだと思います。

数値のみの比較が全て正しいとは一概には言えませんが、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛・3密回避がデータにも色濃く反映されています。

ニューノーマル(新常態)と言われる新しい時代には、これまでの黄金比率と言われていた家計簿的な比率も少し変わってくるかもしれません。

人は「分からない」とパニックになって冷静さを欠いてしまいます。知識を得ておくことで、打開策や代替案が出てきたりします。
現状のご自身の家庭での家計状況を把握し、今を生きるため、将来を楽しむために計画を立てることが大事だと思います。

そして…自省の念を込めて、自分の家計も改めて見直さねばと思いました(^^;

お金の知識は生きる知恵。

今回の記事も、参考になれば幸いです!

この記事を書いた人 玉城 久子(たまき ひさこ)
株式会社プロトソリューション(沖縄県宜野湾市)の広報担当。
2018年にえるぼし(3つ星)認定に成功し、以降セミナー登壇など女性活躍に力を入れる。
2児の母でもあり、同じママたちに”生きる知恵”を伝えるべく「制度」系の勉強中。「SDGs」への関心も高まっており、脱プラや環境配慮に関する記事も書き始めました。