女性管理職比率の推移と女性割合が少ない理由とは?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

このサイト「W(ダブリュー)」でも度々話題にのぼる「女性管理職比率」。
えるぼし認定のときに産業別平均値については触れたものの、全体では一体どのくらいなのでしょうか。

「女性が少ない」
「女性割合をあげなければ」
という声は聞こえてくるものの、なかなか増えていない現状を調べてみました。

女性管理職比率の推移

令和元年7月30日に厚生労働省が出した「平成30年度雇用均等基本調査」の結果から見ると、

・正社員・正職員の女性比率は26.0%
・新卒における女性採用が増えている
・課長相当職以上の女性管理職(役員含む)がいる企業割合は56.3%
・課長相当職以上の女性管理職割合は11.8%
・企業規模別にみると女性管理職割合は300~999人の事業規模が一番低い

業種別データで見ると、「医療・福祉」は半数を占めるほどの割合に対し、最も割合が低いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」となります。

女性管理職比率の推移だけをみると右肩上がりとは言えるものの、実際に管理職といわれる役職は、全体の1割程度。

役員が20%を超えているのは、国の施策も絡んでいることなのでしょう。

ただ、実際問題現場のマネージャーである管理職に女性はまだまだ割合として少ない現状があります。

ちなみに、国際労働機関(ILO)の発表によると、2018年の世界の女性管理職比率は27.1%に対して、日本は12%!
こうやって比較すると明らかに低い事がわかります。

家事・育児にかける時間に男女差が出ることが課題という見方もあるようですね。

改善されつつはあるものの、まだまだ長い時間がかかりそうな女性管理職の登用ですが、なぜ女性管理職の割合を目標に掲げているのでしょうか?

女性管理職割合が少ない理由

そもそも戦後には婦人参政権がありませんでした。
1946年4月10日に初めて、日本で女性が投票したのです。

74年前といえば遠く聞こえるかもしれませんが、74歳の現役バリバリ野方もいらっしゃるくらい身近なものです。

そこから少しずつ男女平等が進み、1999年(平成11年)6月23日に「男女共同参画社会基本法」が施行され、男性も女性も、意欲に応じて、あらゆる分野で活躍できる社会が目指されることになったのです。
■参考ページ:内閣府 男女共同参画局「男女共同参画社会とは」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/society/index.html

1999年といえば20年前です。
20年前に新卒入社した方々も40代半ば。

今でこそ、「男女平等が当たり前!」「女性がもっと活躍できる社会を」と叫ばれていますが、20年ちょっと前までは、「男性が活躍する」のが当たり前だった時代なのです。

やはりまだまだこの【当たり前】が浸透しきれないのは仕方ない部分だと思うのです。
ただ、人口はどんどん減っていって、人手不足の中では女性活躍はもはや【当たり前】かつ【急務】なことです。

とはいえ、20年前までの当たり前が浸透しているのは、男性だけじゃなく女性も同じ。

「でしゃばっちゃダメ」
「事務でサポートする」
「役職なんてとんでもない」

そんな考えをする方がいるのも事実なんですよね。

今は、いろいろな考え方・多様性を受容する事が求められています。
昇進を望まない方には昇進を無理にすすめるわけにもいきませんよね^^;
ただ、こうやって女性のロールモデルが出ないままの状態が続けば、変化は劇的には起こり得ません。

ここで、前段の国際労働機関(ILO)が発表した先進7カ国(G7)での女性管理職割合と、婦人参政権の獲得年をちょっと見比べてみたいと思います。

ILOデータより著者にて作成

・・・と思ったのですが、フランス・イタリアと同年だったのですね^^;

ただ、アメリカやイギリスは日本よりも25年前に婦人参政権を獲得し、女性活躍を推進してきたといえます。
(島国だから、陸続きのフランス・イタリアよりも浸透が遅いのでしょうか・・・)

インターネット全盛の時代を迎え、5Gの世界が来ている今、リアルタイムで世界中の人々と繋がれる世界です。
きっとこれまでの「差」が少しずつでも埋まるのでは、と期待しています!

女性管理職がいるメリット・求められること

女性管理職がいることで得られるメリットにはどんなものがあるでしょうか。

・採用メリット
・次世代育成メリット
・選ばれるメリット
などでしょうか。

先日ニュースでユニリーバ社が、採用での性別記載を廃止したとありました。
知らず知らずのうちに「女性だから」「男性だから」という偏見(アンコンシャスバイアス:無意識の偏見)をなくし、優秀な人材を確保することが目的とのことですが、すごい取り組みですよね!

女性が活躍する企業では、後に続きたい!と思う求職者も増え採用にもメリットを感じられるでしょう。
また、社内にロールモデルとなる女性管理職がいれば「私もああなりたい!」と次期管理職養成にもつながります。
女性が活躍する企業の商品・サービスは、ユーザー・お取引先からも選ばれるような時代になっていると思います。

様々なメリットがあるからこそ、女性管理職の割合を上げようと各社努力しているのですね。

女性管理職が育ちやすい企業とは

女性管理職における産業別平均値の業種にもあるように、やはりもともと女性社員の割合が多い企業では、女性管理職比率も高くなる傾向があります。

また、やはり妊娠・出産で体への影響があるのは、どうしても女性です。

妊娠中でも続けたいと思えるような仕組みがあるか、育休後に復帰しやすい制度があるか、など、ライフイベントにおけるケアが充実している企業では女性管理職も増えやすいと言われます。

今後の経済発展のためにも、子どもを産み育てたい!と思えるような国にするために、企業の努力は欠かせませんね!

この記事を書いた人 玉城 久子(たまき ひさこ)
株式会社プロトソリューション(沖縄県宜野湾市)の広報担当。
2018年にえるぼし(3つ星)認定に成功し、以降セミナー登壇など女性活躍に力を入れる。
2児の母でもあり、同じママたちに”生きる知恵”を伝えるべく「制度」系の勉強中。「SDGs」への関心も高まっており、脱プラや環境配慮に関する記事も書き始めました。